お前の笑顔に運命感じちまったんだから、仕方ねぇだろ!

オレの人生、上がったり下がったり色々あったが、これほどの物は今まで、流石になかった
預言にあった、勇者さまに出会った。投獄されていた牢屋で、なるほどそういう意味かと、預言の言葉を再確認した。
この勇者さま、イレブンは、オレが想像していた、というかなんとなく抱いていたイメージとは全く違って、優しげでおっとりとした性格で、背丈こそオレよりちょっとあるものの、細身で髪なんてサラサラで、綺麗な顔してやがる、なにより笑顔がとてつもなく、魅力的に見えた。
まだ、そんなに笑えるような状況下でもない、どちらかというと不安を押し隠すような、健気な凛々しい表情で、眉を吊り上げて必死に頑張って立っている、そんな健気な姿は好ましくて、たまに見せる笑顔が、
・・・・・・可愛い。

その、言葉がオレの心を悩ませる。可愛いって何だ、勇者さまは優男かも知れねぇが、男だし、オレもそっちの気はねぇし!
だか、湧いてくる、湧き上がるものは、その勇者さまに対しての好意を超えたものばかりだった。
この勇者さまは、崖の上で絶体絶命みてぇな状況下において、阿吽の呼吸みてぇに、相談したわけでもねぇってのに、信じて崖から共に飛び込んできたんだ、まずそんなことをしたら、落ちて生きてるわけないと思うだろ、なのに、あの時信じられた、その先があると、勇者の奇跡なんて、夢見たような言葉を、共にその先でまた顔を突き合わせることが出来る未来を。

落ちてはいたらしい、だがオレたちは、勇者さまとオレは無傷で生きていた。
落下の記憶は飛んでるものの、確かに飛び込んで落ちて、でも痛みすらない。そら、勇者の奇跡ってのは、マジであったんだと、思わされたもんさ。なんだかわからねぇ感情、湧き上がる高揚感、これからこいつと、勇者さまと一蓮托生、上等じゃねぇかと、なんだかわからねぇ高揚感がオレの中に湧き上がってた。

それはいい。だけどよ、オレはその他にも、よくわからねぇ感情を抱いちまってた、可愛いだの、綺麗だの、なんか心地いいけどおよそ男の勇者さまみたいな存在に抱くモンじゃねぇと、心で言い聞かせるのに、
このイレブンは、無邪気で優しくて、成人したとはいうがまだ少年みてぇな年頃の相応の可愛らしさを持っている、オレとは全く違う、世間を疑うことも知らない、むしろそう、守ってやりたくなる、この穏やかで優しくて可愛い笑顔を・・・。

初めてそのサラサラな髪に、何気なく触れた時は、あんまりにもサラサラで艷やかで、こんな綺麗な髪がこの世にあったのかと、打ち震えてイレブンに不思議がられた。
触れるたびにいい意味でゾクッと心地いいんだ、なんか気持ちよくなっちまう。
その度にその綺麗な澄んだ蒼翠のおめめがきょとん、として、なんともまた、可愛いと思っちまう。
顔に出さねぇ様にするのが、やっとだな・・・

旅の始まりは小さな教会だった、本当に世話になったものだ、そこにいたよく知らねぇ戦士みたいな男に、連携するといいとやけに勧められて、そんなのがオレとイレブンで出来るなら、嬉しいもんだと内心に包み込みつつ、試してみるかと持ちかけてみれば、イレブンはその瞳をキラキラさせて、うん!と頷いたもんだ、可愛いヤツだぜ、こんな素直で可愛いヤツ見たことねぇ。
連携、シャドウアタックに成功したときは、思わずオレまではしゃいだ、あー待て待て、そこは落ち着いて喜んどけオレ
でも、オレがそうやってた方がイレブンは嬉しいと言った、あああ、クールなアニキみてぇなのを続けるつもりだったが、そんなことを言われちゃあなあ、正直嬉しくなったのはオレのほうだった。
イレブンが火炎斬を覚えたときは、そりゃあ可愛い反応で、その頃はなかなか見られないくらいのキラキラな瞳が、ワクワクドキドキしてる無邪気なその姿は、火炎斬の炎より眩しく、オレを熱くした。

ナプガーナの辺りまで来た時、オレはもう、身体にそれがきちまってた、イレブンに対して、身体が反応するようになっていたんだ、着替えたり、多少水浴びしたりしていたら、そりゃ、見ちまうワケで
これは自覚というか、自分がイレブンに対してそういう、好きだという想いを持ってることを認めざるを得ないコトだろ
抱けるかと言われたら喜んでそうしたいほどに、反応するんだ、男としてそれはどうにもならねぇ。
だが、それを本人に言えるかったら、どうだろうな、話してるうちに出てくる、村の幼馴染の女の子の話とか、別にそういう関係だと言われたワケでもなんでもないのに、オレの中にその、会ったこともねぇ子に嫉妬心が湧いてるくらいだ。
試しに聞いてみた、その子とはどういうもんなのか、イレブンは無邪気に、やだなあ、そんなんじゃないよって笑うんで、とりあえず心底安心したりした。
その話ついで、オレにそういう相手がいるのか聞いてきたんで、いねぇよと答えた、そうしたらなんか、イレブンも嬉しそうに見えなくもない、大体イレブンは感情を隠したり誤魔化したりするのは不得手、間違いなくなんか嬉しそうなんだよ、期待しちまうじゃねーか。

オレのことを、頼ってくれるイレブンの信頼を裏切るわけには、いかねぇよな
言わねぇまま、頼っていいアニキみてぇな存在でいられれば、じゅうぶんじゃねーのか
大体オレだって、自分のことは何にも話してねぇ、レッドオーブが欲しい理由だって言ってねえし
言わねぇままでも、この旅はなんだか楽しい、追われて隠れて、でもオレは妙に楽しいんだ。

楽しいなんて、言えなくなる事があった、イレブンの故郷が、育った村が、ひでぇことになっていた、焼かれたあとの村は、知る人など残ってはおらずで、健気に立っていたイレブンも泣き崩れそうだった。
許せねぇ、だがオレまで感情的になってちゃいけねぇ、イレブンを支えてやらねぇと。
お前にはオレがいるとか、都合のいいことは言わねぇよ、ただ、今はイレブンが前向いて歩けるまで、泣かせてやろうと思った、なのにイレブンは涙を拭って立とうとする、その顔に瞳に、あの可愛い笑顔がなくて、やるせなさはオレにも襲う、ちくしょう、あいつらなにもかも、イレブンから奪う気か
守ってやりたい、その気持ちは更に強まる、たとえ世界中が敵でもオレはおまえの味方だぜ、甘やかしたい気持ちは控えめに、イレブンが勇者として、これからも進める道を前向いて見られるように、その素直で優しく可愛いところ、オレは守りてぇ。
また、おまえが笑えるように。

レッドオーブをなんとか取り戻して、さてこれからどうするかと思っていたら、油断大敵、あの将軍たちが追って来やがった!
こんなところで捕まってたまるかよ!オレはろくに乗ったこともない馬に乗って、なんとかイレブンを連れて、ギリギリのところで逃げ果せた。
乗馬ならイレブンは得意、オレの方が慣れてねぇ、のにあいつら矢を放って馬の足を止めやがった、オレも必死でイレブンの手を引いた、本当に勇者の奇跡はあるんだろう、ならオレはその運命でもなんでも、良い方へ転ぶように手を引く!
不思議な力は勇者の味方だぜ、なんとかギリギリで逃げ果せた。

「カミュ、ありがとう!君がいてくれなかったら、ここまでのこと、出来てなかったよ」

イレブンは、見知らぬ土地へ逃げ果せた時、安堵したのか、オレにそう言って、やっと笑ってくれた
その顔が見られただけでも、必死になった甲斐はあるぜ
オレが守りたかった、その笑顔、オレだけに向けられていた、しばらく必死で隠れてた、熱いものが湧いて戻るんだ

あのね、僕、感謝してるんだ、カミュ、大好きだよ・・・

照れたようにそう言ったイレブン、あああああ、イヤその
おまえのその大好きだよってのが、どういう意味なのか、オレと同じ意味か、んなワケねーと思ったけど
少し進んだ先、同じとわかったその先で、満面の笑顔を貰えた時、最高の高揚感と喜びが、湧き上がって飛ぶようだった。

運命感じちまったんだ、お前の笑顔が好きなんだ、もうこれは、仕方ねぇだろ!

それは、オレが運命の相棒と出会った頃の、運命の出来事さ。

2025/9/19