オレ、カミュは、今まさに頭ン中が蒸し風呂だ。
ここはホムラの蒸し風呂だ。
イレブンと、やっと人里に辿り着いて、風呂屋の呼び込みに声をかけられた。
確かに風呂なんて今までの道のりからしても、今後からしても、いつありつけるかわからねぇし、入っとくか、と・・・
いうまではよかった、まてよ、オレ、こいつと、イレブンと一緒に風呂なんて入るのか?!
待て待て待て!そんなん、オレの理性が保たねぇっつの!
風呂だろ、着替えて脱いで・・・わわわ!
待て待て待て待て!オレがイレブンをどういう目で見てんのか、当のイレブンに知られたら、ヤベえヤベえ!
と、一人で一瞬の葛藤をして、オレは先に行くと告げた。
何かイレブンもやけに赤面して顔を覆ってたが、何でだったんだ?
アイツは結構、恥ずかしがり屋だしな、別な意味で風呂が恥ずかしかったのかな、
って、それはそれで可愛くてヤベえ!
と、まあ・・・オレは、男のはずの勇者さま、イレブンに並々ならねえ想いを抱いてしまっているらしくてな、ここまでも密かに大変だったんだぜ、二人旅だからな。
まあ、そんな可愛いイレブンと二人旅は、結構楽しいけどな!
っていうか!アイツは何であんなに可愛いんだろう。
あのサラサラの長めの髪とか、ツヤツヤでサラサラで触り心地も堪らねえ。何でそんな、長くしてるんだよ、綺麗に見えちまうだろ!
あの、たまに見せるようになった笑顔とか、嬉しそうに照れ笑いした時とか、素直なあの綺麗に澄んだ瞳とか・・・
真っ直ぐで優しくて、それでいて芯は強くて、無邪気で素直なあの、全てが眩しくて、可愛い。
大体、下手なそこらの女より、よほど綺麗な可愛い顔してやがる!
ハァ・・・オレ、重症だな。ここにきてまさか、勇者さまである男に、こんなに惚れ込んじまうとはな。
ま、とりあえず落ち着いてきたし、蒸し風呂って裸じゃねえからある程度は安心だ、イレブンもそろそろ来るかな。
「カミュってば、何で僕を置いて先に行っちゃったの〜」
と、オレと同じ白い浴用の服で、イレブンはちょっとふくれ面で蒸し風呂に入ってきた。
うわ、着てても何か、エロいなこいつ、細いし、普段着込んで日に当たってない首から下は色白なんだな・・・
もう、とか言いながらオレの隣に当たり前みたいに腰掛けるイレブン。
「カミュって、思ったよりずっと何か筋肉しまってて、カッコイイ・・・」
は?何、顔赤らめてんだよ、勘違いしちまうだろ!
隣にこんな薄着のイレブンがいたら、オレの理性が保たねぇよ、心頭滅却、これからの事も考えなきゃならねえ、頭冷やせ、オレ。
風呂から出て、迷子になってたルコって女の子の親父さんと、何か小生意気な自称大魔法使いベロニカの妹セーニャって子も探しに、オレとイレブンは魔物の巣窟の洞窟探索をすることになった。
ルコは酒場に預けて行けば安心か、しかし子供でも、女の子ってのは敏感だな、
ルコに突然、言われたんだ。
「お兄ちゃんは、髪サラサラのお兄ちゃんが好きなの?」
心臓が飛び出るかと思ったが、子供の質問だぜ、オレ。お友達の意味だろ、なら。
オレは、ああ、好きだよ、と答えた。
「やっぱり!サラサラのお兄ちゃんをお嫁さんにしたいんだよね!イレブンお兄ちゃんにおしえてあげなきゃ」
そう言ってルコは、キラキラした拾い物を集めてるイレブンのもとへ駆けていった・・・
おい?!
お嫁さんって・・・
それをイレブンに言う気かーーー!
ルコはイレブンに撫で撫でされている。
そして、二人揃ってオレのところへ来て、ルコは親父さんがいない不安を抱えて笑えてなかったってのに、にこにことしながら言うんだよ
「よかったね、イレブンお兄ちゃんもカミュお兄ちゃんが大好きだって!」
お、おう、ありがとよ。
イレブン、お前もお子様の可愛い質問だという答えなんだろ、わかってるさ、このオレの片思いが、バレたんじゃなさそうだから、まあ、良しだ、横でベロニカのガキがニヤニヤしてやがるが、ホントに生意気だな。
オレたちは、なにやら面倒な仕掛けの洞窟探索をクリアして、間抜けな魔物からベロニカの魔力とルコの親父さん・・・ってか名の知れた情報屋を取り返して、ベロニカと妹セーニャと、改めて仲間になった、なっちまった。
二人旅、終わりか、仲間が増えるのはイレブンにとっては良いだろ、二人で居たかったとかいうエゴは隠しておけ、オレ。
なんだか勇者さまにとって大切な仲間だ、これからの光明になるんだろうさ。
しかし、ベロニカはセーニャと双子っていうがガキにしか見えねえし、セーニャもおっとりしてて危なっかしい感じだ、大丈夫か。
ってか待てよ、女二人も仲間だぞ、イレブンだって年頃の男子なんだから、気になるかも知れねえな、いよいよ、オレ、ピンチか?
告って自爆すんのは嫌だが、このまま女にフツーに取られるのも癪だしな・・・
一先ず、オレたちはホムラでもう一晩宿をとった。
イレブンとオレは、相部屋だ、今までとかわらねえ。
が、なんだかイレブンの様子がおかしい。
「ねえ、カミュは、おしとやかな女の子と元気な女の子なら、どっちが好きなの」
は?それは、セーニャとベロニカのことか?
別にどっちも好みじゃねーよと返したら、じゃあどんな子がいいの、と。
コイバナしたいわけでもねえな、切なそうに俯いているんだからな・・・
どうした?と近くに寄れば、切なそうな大きな瞳が、上目遣いで覗きこんでくる。
ま、待て、可愛い。上目遣いは反則だぜ・・・
ってか、これ、もしかして、お前・・・イレブンお前もなのか?脈アリだったのか?!
おんなじ事考えてたと、思っていいのか?
なんてことをグルグル考えてたら、イレブンは、風呂で頭を冷やしますとか言って、部屋を出てしまった。
風呂は熱いぞ?冷えねえぞ?じゃなくて!
オレはイレブンを追いかけて、風呂屋でツレがどうしたか聞いてみると、蒸し風呂じゃなくて露天風呂に行ったらしい。
ここで、理性がどうのと言ってる場合じゃねぇ、今つかまえないとギクシャクしちまう!
脱衣所で、見慣れた紫の服がかごに入ってるのを見て、オレは意を決すことにした。
風呂で告るのもスゲーが、それ以上にここを逃しちゃなんねえぜ、と感が物言う。
ささっと脱ぎ、イレブンの姿を探す。
「わ!カミュ?!・・・ちょっと待って恥ずかしい・・・」
男同士で恥ずかしいとは、可愛いなあなんて思ってる場合じゃねえ
「イレブン、どうした?泣いてたのか?」
「う、なんか、切なくなっちゃって、えへへ・・・」
「どうしたんだよ、オレはなんか、わりぃこと、言ったか?」
「そんなことないよ、僕が変なだけ。・・・ルコちゃんに、好きだって!って伝えてもらって、嬉しくて、でも、そんな意味なわけ・・・ないのに・・・」
あああああ、イレブン!
気付いたら、その細い裸身を抱きしめていた。
「オレ、お前が、イレブンが好きだ。そういう意味でだ。ずっと、旅してて一人で悩んでたんだ。」
「カミュ・・・僕・・・嬉しい、同じだと思っていいの?」
「ああ、好きだぜ、ずっと、お前が可愛く見えて仕方なくてよ。・・・イレブン、ふんわりしたいい匂いがすんな・・・」
「かみゅ・・・大好き・・・!カミュの匂いがするよう・・・ねえ、もう少し、こうしていていい?」
「オレの理性が飛ばなきゃな、どうなっても、知らねえぜ?」
「カミュぅ・・・好きにしていいよ・・・お部屋に戻ってからなら。」
そこで、オレの理性は半分飛んだが、部屋までは保たせたぜ。
ホムラの風呂の如くムラムラむわむわしてきたオレの思考と心情だったが。
両思い成立で、いきなりの初体験いただきますとは、なんていうか美味しすぎて、
残した半分の理性が吹っ飛んでいた、マジか!イレブンがオレの恋人に・・・!
運命感じてたのは、オレの勝手な思いこみじゃあねえんだな、お前もなんだな!
目の前ではにかむ半裸のイレブンが初心な処女みたいで、可愛くてしかたなくて、でもオレも男に過ぎないんだ、狼に、獣になっちまうのはゆるしてくれよ、愛しいイレブン。
翌朝、うるさかったと双子姉妹、主にベロニカに呆れられながら文句をいわれたが
この手にした最高のお宝の、恋人のイレブンってのを手に入れたオレには、すずめがチュンチュン言ってる程度にしか感じねーぜ
今後何があろうと、どんな仲間が入ってこようが、運命だの何だのが降りかかっても
オレにはイレブンがいて、イレブン、お前にはオレがいるぜ
何がなんでも、例えお前が勇者としてオレより強くなったとしても、オレはお前を守るからな!
ホムラの蒸し風呂やらのように、アツくなってたオレの頭ン中は、別な意味でアツい。
イレブン見てるだけで、隣りにいるだけでアツい。
クールなカミュって言われるがな、頭ン中はアツかったりすんだぜ、誰かさんのおかげでな。
おしまい
