「ふぁ〜すと・ちゅっ☆って、俺の好きな苺チョコみたいだったなー。




桂が、銀時の隣で・・・お茶をすすっている。
銀時は、桂が湯飲みを置くのを待っている。
何でかって?
今は湯飲みとお茶に奪われている、その唇を盗み取りたいから。

桂は、ふぅ・・・とお茶から唇を離し、軽く息を吐く。
銀時から見たら、お茶と湯飲みは今、あま〜い唇を奪い取っていた憎い奴。
それが桂の唇から離れたら、その湯飲みを奪うように取り、中の、少ないお茶をくいっと自分の口の中に流し込む。

「あぢっ」

「当たり前だ、何やってるんだ貴様は。飲みたかったら自分の茶を飲め。」
そう言われた銀時は無言で、桂の頬に手を伸ばす。

「・・・よせ。」

白い頬がほのかに染まっている。
どうだ、いかな熱い茶であろうと、こんな風にコイツをかわい〜くはできねェだろ。
なんて思いながら・・・銀時の指先は桂の唇に触れて、なぞる。

「・・・よせと言っているだろう・・・。」

桂、困惑。いつもはこちらから寄って行ったって、蹴り飛ばしたり何だり・・・ひどいのに。
突然こう・・・予期せぬ時に、甘い雰囲気を作り出す。
全くもって勝手。
大体今は昼間で、生真面目な桂としては・・・こんな雰囲気にされても困る。

銀時は何も言わないまま、そっとくちづけた。
桂は嫌がるのをやめた。
そのままされるがまま。
銀時ときたら、お茶の奴に奪われていた、口内もいただかなくては気が済まない。
でも、そんなくだらない、お茶と湯飲みが憎たらしかったなんて、絶対桂本人には言わないし、知られたくない。
なんとなく、桂の横顔を見ていたら、ちょっとその甘くて美味しそうな唇が欲しくなった。
幸い二人きり、いいトコまで持っていきたいところ。

「んっ・・・・・」

「はぁ・・・・・」

何というか、ひとしきり。片手は横顔をなぞり、もう片手は長く美しい髪を遊ぶ。



・・・・・。
幼いとき。
それは二人のファーストキスの時。

「なーヅラー」
幼き銀時は、隣にいる、女の子みたいな顔立ちの幼き桂を・・・こう・・・じーっと見つめていた。
「ヅラじゃない桂だ!・・・な、なんだぎんとき・・・」
じーっと見つめられて、幼き桂の頬が紅潮する。

「なーヅラ、・・・ちゅってしよ。」

突然そんなことを言い出す。

「・・・ちゅ?」
「そ、ちゅーって。」
「んなっ、なななななに言ってるんだぎんと・・・」
「いいじゃん、してみたいんだよ、クチとクチでちゅーって。お前と!」
「えっえっえっ・・・お、俺と、したい・・・のか?」
「だからそうだって、最初から言ってんだろ。」
「えええ・・・そ、そんなこと・・・」
「ヤじゃねーよな?ヅラお前俺のことスキだろ?」
「えっえっえっと・・・好き・・・だけど・・・ダメだ、そんなこと大人のすることだし・・・男同士ですることじゃないと思うし・・・」
「いいじゃねーか、俺はお前としたいんだよ。あとお前が俺以外のヤツとちゅーすんのもヤだ。」
「そ・・・そんなに俺と・・・俺のことを・・・」
「なっ、だからいいだろ?って言うかしちゃうからな!」
「えっ・・・・・・・・!」




そんな感じで、幼きときにしっかりと、お互いのはじめてを味わったことなんて思い出してしまったり。
「お前はいつだって唐突で勝手だな。」
桂の手も、髪を撫でる。銀色の、短くくるんとした髪を。
「欲求に素直な男なんだよ俺ァ。」
「それを称して勝手というんだ。」
「お前だって悪くねーだろ。寧ろ悦んでる顔してんぞ。素直に喜べや。」
「本当に勝手な男だな。」

もう一度、口づけそうな距離まで顔を寄せて。

「そんな勝手な俺がオメーは好きだろ?」

そんなことを言う。
そして、桂は言い負ける。

もう一度、口づける。そのまま、ばたんと倒される。

「ままま待て銀時っ、そんなことまでするような時間じゃないぞ・・・!ちょっ何処触っているんだこら貴様!」
「あんだよ、夜ならいいワケ?んじゃ俺は夜までお前を引き留めるけど。」
「本当に・・・お前は。」
桂は笑っていた。

「苺チョコ。」
「は?」
「俺的に、ファーストキスの味はレモンってより苺チョコ。」
「はあ・・・苺チョコなのか。まあ貴様はレモンより苺チョコの方が好きだろうが。」
「甘酸っぱいのがファーストキスならな、甘酸っぱい苺味のな、それに甘くほろ苦い青春の味もあれば丁度良いトコだろー。」
「・・・青春どころか・・・幼き日だったと思うのだがな・・・。」
「俺あんとき苺チョコ食ってたから。」
「ん・・・実に甘酸っぱかったな、お前の吐息は。」
「よく覚えてんな。」

どうだ、湯飲みとお茶。俺のモンはとうの昔に俺のモンなんだよ。
苺チョコにはお茶があれば美味しくいただけるのは認めるが・・・
ヅラは、俺んだ。
・・・・・そういう気分の時もあんだよ、普段は隠してる分、余計な。

隠してるけれど、独占欲は強い。反動で蹴り飛ばしちゃったりするけれど。

苺チョコの味より、ヅラのお口の方が好き。こっちの方がずっと甘くて、銀時好みなのだ。











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はい、お粗末でした。小さなときに可愛くちゅってしちゃった二人を妄想してみました。(笑




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