「帰ったらたっぷり可愛がってやるからな?!」


その日、カミュは一人で、酒場での情報収集に行くと言った。
夜の酒場では、素直で真面目なイレブンのような子が居るよりは、彼一人で動いたほうがいいと判断したからだ。
最初は一緒に行くと言ったイレブンだったが、カミュに「たまにはゆっくり休んでな」と言われて引き下がった。
仲間たちも、カミュに任せた方が良いと言うのもあり。
彼が行くのは、ちょっとイレブンのような、幼さの残した「可愛い」子を連れていけない酒場で、そこでなら、訊きたい情報がとれるということだから。
イレブンとしては、ちょっと寂しくもあるが、足手まといにもなりたくないので、信頼する相棒に任せることにした。

「イイ子で休んでな、待ってろよ、聞くことは全部聞いてくるぜ。」

「うん、じゃあ僕は、お風呂にでも入ってゆっくり待ってるよ。」

「ああそうしろ、・・・って、なんで風呂・・・」

「ん?何か汗かいたから、キレイにして待ってるから、ね?」

「お、おう?!」

イレブン、お前に深い意味はないんだろうよ、でもな、そんな事言われたら変な期待するだろが!
よ、よし、さっさと終わらせて、湯上がり美人拝んでやるぜ、待ってろよイレブン・・・

何だかよくわからない、不純な動機のやる気の出し方をして、カミュは夜の街へと出て行った。

何だかやる気満々だったなあ、と・・・純粋無垢な瞳で、信頼する「大好きな」カミュを送り出すイレブンであった。

彼に任せれば大丈夫、なんたって僕の一番の大切な、大好きな相棒だから!
僕は帰りを待って、カミュが気遣ってくれたように休みながら、帰って来てから酔ってても大丈夫なように、キレイにしてますから!
・・・僕だって一応成人してるんだからね?意味わかってなくなんかないんだからね?
帰って来たら、お疲れさましてあげるんだから、カミュが優しく気遣ってくれるなら、僕だって労ってあげちゃうぞ!

そんな、どこで覚えたんだと相棒に言われそうな事を思いながら、イレブンはゆっくり念入りに入浴するのだった。


カミュは、一人、酒場でつかまえたい情報の持ち主を待ちながら、とりあえず一杯呑んでいた、先ほどのやり取りのせいだろうか、頭の中はイレブンの事しか浮かばなくなっていた。
情報をとる事を考えるべきだというのに、先ほどのやり取りの、妙に可愛いイレブンの、瞳で「頑張ってね、大好きだよ」とでも言っていそうな顔が浮かんでしまって、たまらない。

アイツなんであんなに、可愛いんだよ、男なのにお前・・・可愛すぎんだよ。
ああ、折角だから、何か土産買って帰ろうか、アイツの喜ぶヤツを。
長湯してんのか、しかし風呂入って待ってるとか、変な期待させやがって。
よし・・・帰ったら、たっぷり可愛がってやるから待ってろよなイレブン!

カミュの頭の中は、帰りを待つ相棒の事しか、ない気がするが。

「待たせやしたね、旦那」

なんぞ、情報の持ち主がやって来る。
この男から、聞けることは聞く、それが今回のカミュの役目。
それなりに対価を要求されたのも値切った後、知りたい事はあらかた仕入れて、そこそこの酒を一杯やった後、宿に帰る。

ガラの悪いヤツも多い、夜中の酒場、オレ一人で良かったな、イレブンみたいな純情なの連れてたら、心配過ぎて気が気じゃねぇ、絡まれるだろうし、オレの相棒に絡んだりしてみろ、タダじゃおかねえぜ。
ま、知りたい事は大体とれたし、土産も冷めるから早く帰ろう。

そんなこんなで、カミュはやるべき事を済ませ、宿に帰った。
頭の中は既に、「オレの為に風呂入って待ってた」相棒の事しかなくなっていた。

「お帰りカミュ!」

「おう、ただいま、酒場の名物料理買ってきたぜ」

「わぁ、お土産まで付いてきた、お疲れさま、カミュ。」

「ってかお前、今まで風呂入ってたのかよ、長湯だなぁ。」

期待通りの湯上がり美人だ、火照った肌がほんのり染まっていて、乾ききらない髪はしっとりしていて、なんだかふんわりといい匂いすらしてくる。

わかってはいたが、期待以上に可愛い相棒であった、16歳の男の子の筈なんだが、湯上がりの時は魅力の値がガバーッと上がっていそうだとカミュは思う。
いつもは女子よりガードの固い、顔と手くらいしか出してない、鉄壁の勇者さまだが、今は薄い寝巻き一枚で、首から白いタオルを掛けているだけ。
そして帰ってきたカミュは、若干酔っ払いである。
酔っ払いの頭の中はなんだか、顔に出ない桃色である。

「カミュ、ちょっと酔っ払ってるね?」

「そりゃ、多少はな。とれるモンは全部聞けた筈だぜ。それより、コイツが冷めちまうぜ、早く食えよ、旨いらしいぜ?」

「ありがとう、ホントにカミュは優しいなぁ。食べたら、お疲れさまのご褒美あげるね!」

・・・イレブン、期待以上に、天使なのか小悪魔なのかわかんねぇぞ!
ホントにそういう意味だったとか思っていいのか、マジか、ああ、なんか何でもいいや、お前がその気なら、本気で可愛がってやるからな?!

「カミュぅ?どうしたのさ、そんなに見つめられたら照れるよ・・・う、よし!じゃあ、お土産一緒に食べる?それとも、僕の方がいい・・・?」

「お前がいいに決まってんだろ・・・!」

そういう事をどこで覚えたんだと、カミュは言うが、教えちゃったのはカミュである。
夜の味を覚えさせちゃった責任は、とるべきかも知れない。

「今度は僕も連れて行ってよ、僕だってもう大人なんだから。」

「ダメだな、お前みたいな・・・お前みたいな可愛いの、あんな所に連れていけるワケねえだろ。」

「僕をそんな目で見てるのはキミだけだよ」

「自覚ねェなあ、なくていいけどよ。」

「ううん・・・まあいいや、今日は休ませてくれてありがと、僕もカミュをたっぷり労ってあげるからね!」

そういうところが可愛いんだっつの・・・

そんな、二人の夜は大層桃色に甘かったらしい。
朝起きてから、冷めた土産の料理を食べたが、一晩経ってもラブラブな相棒はお熱いままで、仲間たちが呆れつつ、見守るのであった。






「続編・マジで可愛がってやるからな!」



「今度は僕も連れて行ってよ、僕だってもう大人なんだから。」

「ダメだな、お前みたいな・・・お前みたいな可愛いの、あんな所に連れていけるワケねえだろ。」

カミュが、一人で酒場での情報収集に行った日。イレブンは本当は寂しかった。
自分はまだ未熟で、足手まといになるから、子供に見える自分が同行すると、色々まずいらしい。
カミュ曰く、酒場の夜中っていうのは、店にもよるが、スケベなオッサンやら、いかがわしい目で見てくる野郎がたむろしたりもするから、イレブンのような見た目の綺麗な子は、例え男の子だろうと、絡まれてしまうらしい。

「僕をそんな目で見てるのはキミだけだよ」

「自覚ねェなあ、なくていいけどよ。」

カミュは、イレブンのピュアな瞳を見つめながら、風呂上がりでかわききらない髪を撫でる。
コイツに、手を出す奴がいたら、タダじゃおかねェ、させねェけど。コイツはオレのだ。
イレブンの可愛いのを、知ってるのも独占していいのも、オレだけだと、そんな事を思いながら、顔には出さず、髪を愛撫する。

「ううん・・・まあいいや、今日は休ませてくれてありがと、僕もカミュをたっぷり労ってあげるからね!」

無邪気な勇者さまは、一人で知るべき情報を摑んで来てくれた、愛しくてカッコよくて頼れる大好きな相棒を、全身全霊で労うつもりだった。
だから、先ず入浴して、キレイにして。疲れを癒すのもあったけれど、本当は、帰って来た相棒、と呼ぶ恋人の、精神的な疲れも癒すつもりでいて。
カミュの腕に抱かれながら、今日は頑張って、してあげる方も、されるがままな方も、たくさん発散させてあげようと思っていた。
我ながらちょっと恥ずかしいけど、知ってる、カミュが僕を可愛いって、抱きたくて仕方ない事、知ってるから。
何も知らなかった自分に、大人の扉を開かせたのは、他でもないカミュ。
快楽の扉を開かせた、ちょっと罪な男。

いいのか、食わなくて、と、買ってきた酒場の名物の土産の、袋から漂う、焼いたような香ばしさより、そう言うカミュの、ちょっと汗ばんだ男の香りが今は心地よくて、イレブンは薄手の寝巻きの姿のまま、カミュに甘えるように首のほうに腕を回す。

こういうの、どこで覚えた、とカミュ。
カミュが教えたんでしょ、と返すイレブン。

少し酔いが回ったカミュには、特に刺激だった。
湯上がりの恋人の、濡れて透ける寝巻きの下の肌。
・・・触れたい。

今日は積極的に頑張る、と何故か思っているイレブンは、上目遣いで、

「キス、からね?」

と、煽る。

あああ、コイツは!
たまらなくなっている酔っ払い、残る理性と戦う。
そんな事されたら、素でビーストモードになっちまうぞ!
可愛がっていいんだな、いいんだな!

パタリとベッドに倒れこみながら、イレブンの紅い唇を奪うように。
湯で火照った唇は、いつもより紅くて、艷やかに。
重ねるだけでは足りない、舌を滑り込ませて、絡めあう。
欲しいまま絡めとるカミュと、覚束ないまま、まだ上手く出来ないイレブン。
頑張るつもりなのに、もう負けてるって、気持ちよくさせてあげたいのに、されるがままなの、変わらない。

もう、こうなったら仕方ない。いつものように、カミュにイニシアチブとかいうのを持ってもらって、先導して貰いながら、好きにして貰うしかない!

結局これじゃ、僕が気持ちよくなっちゃう。
癒してあげたいのに。

そんな事を思いながら、聞いてみる。
「ねえ、カミュ?カミュは気持ちいい?」

「最高だぜ、イレブン」

「本当に?気持ちよくなれてるの?」

「今日のお前・・・可愛過ぎる、もう、ヤベエ、オレもう保たネェから、抱くぜ」

低音で耳元に囁かれて、イレブンはぴくんと身体を震わせた。
お互い、待ってた時だから。

「いっぱい、して?今日は僕が労うんだから、好きなように、して?」

「労うってなあ、まあいいや、たっぷり可愛がってやるから、覚悟しておけよな・・・!」




朝。カミュが目を覚ますと、隣りで爆睡の愛しの相棒が、何も纏わず、カミュの胸板の辺りで寝息をすぅすぅ言わせていた。

ああ、ちょっと昨晩はやりすぎたか、珍しいくらい積極的なイレブンは可愛かった、オレの為に頑張ってたんだな、いつもの通りでいいってのにな。
ちょっとガンガンやりすぎたかな、大丈夫かイレブンは。

起こしてやるのもいいが、もう少し寝かせておいてもと、寝息をたてるイレブンの唇に軽く自分の唇を重ねる。

「う・・・ん?」

「起こしちまったか、それで起きるって、眠り姫か、お前は?」

「うん?じゃあザメハ出来ないときは、これで起きられるかな?」

「戦ってる時にやれってかよ?!」

そんな、他愛無い会話をして。
すっかり冷めている、土産の酒場料理を二人でつまんで。

「はあ・・・昨日結局、僕ばっかり最高になっちゃってたような、カミュを労って癒してあげるつもりだったのにな。」

そんなことねぇよ、とカミュはイレブンの横顔から、髪まで撫でる。
「オレだってすげえ、なんかあんなん久しぶりだよな、たまには刺激的で良かったぜ、でも無理すんな、いつもの通りで十分可愛いからな。」

「カミュも、すごく良かったんだ?」

「お互いのカラダでわかってるはずだろ?」

うん、と少し恥ずかしそうに、まだちょっとウブさが抜けない愛しの勇者さまは、昨日を思い出して赤面しては、照れ笑いをしていたのだった。

「イレブンちゃんカミュちゃん、朝ごはんの時間だけど、起きてるかしら?」

シルビアが起こしに来たようだ、ドアの向こうから、そんな声が聞こえる。

「もう少ししたら行く」

わかったわ、とシルビアがドアから離れたのを確認して、カミュは不意にイレブンを抱きしめた。
可愛いのありがとな、でもよ、無理すんなよ、本当に。
お前がそんな風に思ってるってだけで、ベホマかけられた気分だからな。
そう、耳元で。

えへへ、とイレブンの笑顔が、カミュしか知らないくらいの笑顔が輝いていた。






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ちょっとイケナイ感じもしますが、アホな話でした
読んでくださってありがとうございました、ちょいとイレブン可愛く書きすぎた・・・。(笑)
復活させてみました。

もともと私が見た変な夢がネタで、本当は二人旅だったり
カミュがひたすらイレブンのことしか考えてないなあっていう
そんなところは残しましたが、ほぼほぼ作りすぎて原形とどめてないんですよねえ
ネタが降ってきたと思うことにしましょう(笑)